妖怪を速攻で退治した霊夢は、とりあえず責任者に文句を言うことにした。
「あんた、外から来る相手って
ちゃんと選べないの?」
「ふふふ、幻想郷は誰でも受け入れますもの」
睨にらんでもまるで変わらない胡散臭い笑顔を浮かべる紫に、霊夢は深いため息をつく。
結界を越え幻想郷にやってくる存在は、望まれたものも、望まれなかったものもいる。
「幻想入り」せずに入ってきたもの、秩序を大きく乱すと判断されたものは、退治されることもある。
「しょうもないやつは
敷居を跨がせなきゃいいのに。
家主の責任を問いたいわ」
「招いてみないと分からないことはあるわ。
招かれざる客でも意外と仲良くできたりするし」
騒動の火種は幻想郷の中だけでも十分存在するのだ。ならせめて外からの客ぐらいは選んでほしい。
ただ、この紫という大妖怪の、幻想郷へ抱く愛情は本物だ。
しかし、怪しい騒動の裏にいたり、大事件の真相をわざと黙っていたりするのも事実。
つまりは、まったく信用が出来ない。しょせん妖怪は妖怪なのである。
「じゃあせめて役に立つのが
入ってくるようにしなさいよ」
「役に立つ……ねえ、
霊夢はどんな子が来たら嬉しいのかしら?」
「礼儀をわきまえてて信仰心のある、
ちゃんとお賽銭を持った参拝客」
「……霊夢、あなたねえ。幻想郷の博麗の
巫女として、もっと自覚を持ったらどうかしら」
「紫、あなたもね。幻想郷の賢者を名乗るなら、
もっと自覚を持ったほうがいいわよ」
視線が絡み合い、気まずい沈黙とともにお互い逸らすと、ひゅううと冷たい夜風が吹いた。
……あったかいお布団が神社で待っている、明日からがんばろうと思った。