人としての道を捨て、若返りと不老長寿の力を手に入れた聖白蓮。
彼女は自分の魔力を維持し、若い肉体を保つため、
人ならざる者として、妖怪に手を差し伸べることにした。
「最初は、自分のためだけに
妖怪を助けていましたけど、
いつの間にか……
あの子たちも守らねばならない
存在なんだと気付き始めました」
妖怪は人間を襲う。当たり前だが、人間にとってはそれだけの理由で恐怖の対象となる。
しかし聖は知っていた。妖怪の中にも、人間に害を為さない存在がいるということを。
「人間からの不当な差別、迫害を受けている
妖怪たちを見逃してはおけません」
「私は一人の僧侶として、
そして一体の人ならざる者として、
人と妖怪が共存できる世の中を創りたい。
……いえ、創らねばならないのです」
その後、妖怪に荷担していることが露見した聖は、人間の手によって封印された。
彼女は夢半ばに倒れ、永遠の眠りについた……訳では決してない。
「封印されたおかげで、今こうして人と妖怪が
共存できる世界を目の当たりにできている。
まさにこれは、終わり良ければ総て良し、
というものです」
心優しき僧侶は死を恐れ、人としての道を捨てた。
しかし、いいや、だからこそ、彼女は夢を掴むことができたのだ。