「わあっ! 見て見てチルノちゃん!
綺麗なお花!」
花畑を散策していたチルノと大妖精。
ふと一輪の花が目に付いた大妖精はチルノに向かって声をあげた。
「おおっ! ホントだ!
せっかくだから持って帰るぞ!」
「ううん……でも摘んだら枯れちゃうよ?
可哀想だからそのままにしておこうよ」
「だいじょーぶだいじょーぶ!
あたいの力で凍らせれば、
この花だってずーっとカチカチだよ!」
そう語ると、チルノは早速、花を摘んで自身の力を解き放つ。
周囲の大気がチルノの下に集まり花はどんどん冷気を帯びていく。
チルノが操る力は、神に及ばないとしても世の法則を超えたもの。
時としてチルノ本人でさえもコントロールしきれないとんでもない力だったりする。
「チルノちゃんすごい!
でも、ちょっとやりすぎじゃないかな……?」
「やりすぎなぐらいが、ちょーどいいんだ!
あたいに任せなって!
立派な“あーと”にするから!」
キラキラと光る氷の粒が大妖精の頬を濡らす。
そこはすでに、ただの人間には立ち入ることすらできなくなっていた。
「いいぞいいぞ! どんどん凍れー!
数万年は溶けない氷を作ってやるぞー!」
「そこまでしなくていいんだけどなあ……。
でも綺麗だからチルノちゃんに任せよう……」
それは妖精たちだけが立ち入ることのできる、凍えた世界。