「私は偉大なる吸血鬼。そんじょそこらの妖怪とは
格も実力も比べものにはならないのよ!」  
紅き魔の館の主、レミリア・スカーレット。 高潔なる不死の王である。   「跪け。
頭を上げるな。
 お前は私の顔を見ることもなく、
私に消費されるのよ」
少女のような見た目だが、彼女は何百年もの時を生きている。 ゆえに、人間など文字通り、赤子の手を捻るように始末できることだろう。   「……なに? どうして自分が
この館に連れて来られたのか分からないのか?
 咲夜のやつ、また何も説明していないな。
この私の手を煩わせるだなんて……説教が必要ね」  
レミリアは豪奢な椅子に肘をつき、ほうと溜息を吐く。 すると、そんな彼女の後ろから、もう一人の少女が姿を現した。
「お姉様。この人間をどうするの?  もしよかったら私のお人形にしたいわ」  
「ダメよ、フラン。あなたに渡したら
三日ともたずに壊れてしまう。
 こいつはね、私たちの食料となるために
咲夜に連れて来させたんだから」  
そう言って、吸血鬼の女王は嗤う。 目の前の矮小な命を侮蔑するかのように、ケラケラ、ケラケラと。