「あーあ、せっかく新しいお人形が  手に入ると思ったのに。残念だわ」  
「この前あげた人間はどうしたのよ。
ほんの三日前のことでしょう?」  
不貞腐れたように頬を膨らませる妹に、レミリアは問いかける。
「あんなのすぐに壊れちゃったわよ。  お姉様、次はもう少し頑丈な人形が欲しいわ。  魔理沙や霊夢みたいに、  とびっきり頑丈な人間が!」  
「三日どころか一日もたなかったのね。  流石の私でも
その運命だけは見据えることができなかったわ」
困ったように吐息を洩らすが、彼女の顔から残念だと思う気持ちは感じられない。 彼女たちは吸血鬼。死を知らないノーライフ・クイーンズ。 人と同じ感性を彼女たちに求めたところで意味はない。魔とは、吸血鬼とは、そういうものだ。   「まあ、いいわ。それよりも喉が渇いたわ。  食事の準備ができるまで、
ティータイムとでも洒落込みましょう」
「わぁ、嬉しい。  それじゃあ私はスコーンが食べたいわ。  人間の血がいっぱいに詰まった、  咲夜特製のスコーンが!」  
吸血鬼姉妹は手を取り合う。人を人とも思わない、残虐な笑みを浮かべながら。