「えいっ! やあっ!」
夜の白玉楼。その庭に妖夢の声が響く。
彼女の修行は朝から晩まで続いていた。
「紅葉だけではなく、風を斬る。
見える者だけでなく、見えぬ者も斬る」
風さえも切り裂く妖夢の剣術は、
ただの人間では近付くことさえ出来ぬほどの鋭さを放つ。
もっとも彼女にとってそれは到達点ではなく、通過点に過ぎない。
「もっと高みへ登らなくては……。
師が帰ってきた時に叱られてしまいます」
斬れないものはあんまりない妖夢だが、それでも満足はしない。
この世の全てだけでなく、この世ならざる森羅万象を斬ることが出来なければ
師は満足してくれないのだろう。
「さて……今日はこの辺にしておきましょうか」
「お休みの幽々子様を」
「起こしてしまってはいけませんからね」