桜の季節となり、守矢神社でもついに花見をすることになった。
豪華なご馳走を用意し、たくさんの人を呼び、ついでに信仰を集める。
……しかし、東風谷早苗は頭を悩ませていた。
「普通の花見なんて地味だし退屈だし……
誰もが見飽きている事でしょう。
守矢神社にしかできない、
唯一無二の花見をしてこそ、
信仰は集まるというもの」
幻想郷には守矢神社の他にも神社が存在する。
最近外の世界から引っ越してきたため、知名度で言うなら守矢神社の方が負けている。
「幻想郷で暮らしている全ての存在が、
興味を持つような花見……。
神奈子様たちに相談してもいいのですが、
私一人で考えて、そして褒められたい……」
花見が開催されるのは今夜。
食事や会場の設営もしなくてはならないため、
余計な催しを考えるのにそこまで時間はかけられない。
「桜……夜……うーん、うーん……そうだわ!
難しい事なんて考えなくていい。
私には――奇跡があるじゃない!」
名案を思い付いた早苗は指を鳴らし、早速花見の準備に取り掛かるのだった。