守矢神社主催の花見の時間となった。 会場には多くの客が集まっており、酒に食事にと大いに盛り上がっている。   「ふふふ。桜も満開、食事も好評、
トラブルも未だ無し。
……ここまでは上々。でも、本番はここからです」  
花見というものは飽きが早い。 桜を見て飲み食いし、話すだけなので当然なのだが……。 二柱の神が見守る中で、飽きなどという余計な感情を発生させるのは、風祝かぜほうりとしては許されない。
「えー……こほん。
それでは、僭越ながら、守矢神社が風祝、
東風谷早苗より一芸、披露させていただきます」  
お祓い棒片手に、早苗は空を仰ぐ。 その直後、突然風が吹き荒れ、無数の桜の花びらが宙を舞った。 桜は早苗を中心に、会場中を駆け巡る。 それはまさに、奇跡としか言えない幻想的な光景だった。
「見てください、神奈子様! 諏訪子様!
夜桜も、奇跡を使えば
こんな楽しみ方だって出来るんですよ?」  
彼女の芸のおかげで花見が大盛況となった事は、あえて言うまでもないだろう――。