「号外~! 号外ですよ~!
どこよりも速い文々。新聞ですよー!」
幻想郷中を飛び回り、道行く人々や妖怪に新聞を無理矢理配って回る射命丸文。
「どうぞ、新聞です! え、いらない?
まあまあそう言わずに受け取ってくださいよ!
おっと、ちゃんと代金はいただきますからね。
新聞記者は無償じゃやってられませんので!」
彼女の新聞に書かれている記事は、基本的には幻想郷で起きた新たな異変に関するもの。
人間も、妖怪も、そして妖精も、彼女の作る記事で初めて幻想郷に起きた出来事を知る。
「さてさて、次はどんな記事を作りましょうか!
何か面白い事件があるといいんですけど……」
記事を作るといっても、一字一句真実に即した内容という訳では決してない。
どんなネタでも、読者の目を引くことが出来なければ意味がない。
小さなボヤ騒ぎも、彼女の手に掛かれば大きな大きな山火事となる。
「おやおや? 山の麓が何やら騒がしい様子
……これはスクープの予感!」
新たな事件の予兆があれば、一目散に飛んでいく。
呼ばれずとも首を突っ込む。それが天狗としてのあるべき姿。
「さてさて、どんな記事ができるのやら。
今から楽しみで仕方ありませんね!」
写真機片手に羽を広げる鴉天狗からすてんぐ。風を操り、縦横無尽に今日も大空を舞う。