「ふふふ、今日もいい記事ができましたね!」   改心の出来だと自画自賛しつつ、新聞を配りに里を飛び回る文。   「号外ですよ~! ついこの間号外を
出したばっかりですが、またまた号外でーす!
 どこよりも早く号外を伝えることに
定評があるのがこの私、射命丸文ですので!」
新聞をあちらこちらへばらまく彼女は喜色満面、どこからどう見ても上機嫌。 幻想郷の住人たちを沸かせる事件を取材できたことが満足だったのだろう。 スクープのおかげで絶好調な彼女は風に乗りながら、自慢の羽をご機嫌にはためかせる。   「さあさあ! 本日の記事も
皆様をきっと楽しませることでしょう!」
「どうぞどうぞ!
この鴉天狗からすてんぐのスクープをとくとご覧あれ!」
幻想郷の目となり耳となり、特ダネで人々を導く射命丸。 正義とか悪とかは関係ない。必要なのは読者の興味をどれだけ引かせられるか。 王が民衆を導くように、射命丸もまた、見出しと記事で人々を掌の上で踊らせるだけ。   「今日も私の記事が注目されている。  やはり新聞記者というのは
最高にやりがいのある仕事ですね!」  
幻想郷のすべてを見聞きし、世に広めること。 それは使命感などではなく、天狗としての性なのだ。