「もおおおお! どうして
こんなことになっちゃったのよおおお!」  
超能力をフル活用し、異空間からバス停やらブロックやら車やらを射出しつつ、 宇佐見菫子は泣きながら全力で逃げていた。 オカルトボールによって起きた騒乱の結果、彼女は幻想郷への侵入を果たすも、 そこで待ち受けていたのは、妖怪たちの歓迎ならぬ弾幕パーティだった。   「あんのインチキ狸いいいい!
ひぃい! ごめんなさいごめんなさいいいい!」
次から次へと湧いて出てくる妖怪たち。 ほかにも自称魔法使いや幻想郷の平和を守る巫女などから悉ことごとく攻撃を受け続け、 彼女は心身共々とっくに限界を迎えていた。   「妖怪なんて怖くないって思ってたけど、
やっぱり普通に怖い! 早く帰りたいよー!
 幻想郷の秘密なんてもうどうでもいいから、
私を元の世界に帰してー!」
化け狸二ツ岩マミゾウの策略によって、幻想郷内に閉じ込められてしまった菫子だったが、 代わる代わる襲い来る妖怪たちをなんとか撃退し、温情によって元の世界へと帰還することはできた。   「散々な目にあったわ……でも、楽しかった。
機会があれば今度は友好的にお邪魔したいものね」  
知的好奇心の塊である少女にとって、幻想郷内に閉じ込められて妖怪たちに追い回された恐怖より、 謎に包まれた幻想郷の在り方への興味が強く、気付けば再び幻想郷に惹かれていくのであった。