「早苗ー! どう?
これが川の中、私たち河童のホームさ!」  
清流の中で、にとりや他の河童たち、さらには多種多様な魚たちまでもが悠々と泳いでいる。 河童たちが着ている服は、光学迷彩機能と完全防水加工が搭載されたハイテクグッズ。 いくら水がかかっても濡れず、陸海空のすべてに対応している。
「ほぇー、すっごいですねぇ。川に入ったことは  ありますけど、じっくり見たのは初めてです。  まさに神秘の世界、この絶景を見られただけで、  今日は来てよかったと満足できますね」  
ゆったりと泳ぐにとりの後ろでは、早苗が感嘆の声を上げていた。 いくら現人神であるとはいえ、早苗はほとんど普通の人間と変わらない。 当然、鰓えら呼吸などできやしない。その弱点を補うのが、にとり特製のパノラマヘッドだ。
「魚みたいに水中で自由に呼吸ができるなんて、  幻想郷の科学力は進んでいますね」  
「幻想郷というより
私たち河童の技術力だけどね。えっへん」
にとりは堂々と胸を張り、自らの発明品を自信満々に褒め千切る。   「私たちの発明品を気に入ってもらえるのは
嬉しいけど、時間は有限なんだ。
ぼけっとしてないで次に行くよ!
ほらほら、早く!」
「ちょ、ちょっと待ってください!  むむむ、思うように進めない……」  
「ありゃりゃ。動き難さは盲点だった。  次回のバージョンアップでは
推進力を搭載しなきゃだね」