「おっと、こんなところに新鮮な死体が」
旧地獄の住人たちは基本的には地上に出ない。
しかし、火焔猫燐だけは、地底の妖怪ながら当たり前のように地上に上がる。
「状態も良し。これはなかなかの当たりだ。
最近は捨て子が多いのか、
腐りかけの死体ばかりだったからねぇ」
魂の抜けた亡骸を軽々と抱え、猫車にポイ。
「死体が当然のように転がっているだなんて、
幻想郷は相も変わらず物騒な場所だねぇ。
……まぁ、それを嬉々として集めてるあたいが
言えたことじゃあないのだけれど」
猫車の上にはほかにもいくつもの死体が、雑然と積まれていた。
「大量大量っと。
それじゃあ、そろそろ戻るとしましょうか。
あまり地上に長くいると、
さとり様が口うるさくなってしまうし」
「えー、ごほんごほん。本日は満員御礼、
猫車も大変喜んでおりまーす。
目的地は灼熱地獄跡、灼熱地獄跡ー。
着いたらみんなで自己紹介してくださいねー」
人生を終えた数多の死体の行く末は、地獄。
その後、地獄でどう扱われるのかは、火焔猫燐の気分次第と言えるだろう。