「ねぇこいし」
「なぁに? お姉ちゃん?」
姉妹は楽しそうに、寂しそうに、切なそうに言葉を紡ぐ。
「私の心、分かる?」
「分からないよ。分かるわけない」
心を読めるが故に、他人が信じられなくなったさとりと、
心を閉ざしたが故に、他人に歩みよることができたこいし。
もはや、さとりはこいしの閉ざされた心を読む事は出来ないし、
こいしは心を閉ざしてしまったため、さとりの心を読むことができない。
「お姉ちゃんも私のこと、分からないよね」
「あら、言ってくれるじゃない」
妖怪さとりにあるまじき、とある姉妹。
彼女たちは、言葉を交わす事でしかわかり合えない。