踊れや踊れ。二人は斯かくて激しく、麗しく、淑やかに踊り続ける。
それは、対象者の奥に潜む能力を引き出すため。
隠岐奈から授かった能力を使って、狂気的に跳ね回る。
「まぁまぁ及第点かな」
「よーし! ごーかーく!」
里乃は精神力を、舞は生命力を、対象者の背後で踊ることによって引き出していく。
それは、ふたりを作り出した隠岐奈によって齎もたらされた力であり、
彼女たちは隠岐奈に命じられるがまま、踊り狂う。
「予想外は人生最高のスパイスさ。
君もそう思うだろ?」
与えられた指令に一点の疑いも曇りも思案もなく、その先に何があったとしても、
傀儡くぐつとなった二人の童子は、その危険で常軌を逸した舞踏をやめる事はないだろう。
「やるよ舞!」
「よぉし! いっちょやるかぁ!」
ひょっとしたら、今は貴方の後ろで踊っているかも……?