「うーん! 今日もとってもいい天気ね!」
「やっほーみんな! 元気してるー?
あうんだよー!
勝手に博麗神社に住み着いちゃった私だけど、
勝手に守護してるだけだから構わないよね!?」
博麗神社の鳥居の前で、髪を靡かせながらあうんは笑った。
「さくらも綺麗だし、
出来ればずっとここに居たいんだけど……
たまに見る巫女さんだけはちょっと怖いかなぁ」
とある秘神の力によって受肉した彼女は、阿あと吽うんの対にして個という変わった神霊。
神仏を見つけだして守護する事が自分のすべきことだと固く信じている。
それゆえに信仰を集めそうな神社や寺を勝手に守護するボランティアに勤しんでいるのだ。
今現在は季節に関係なく美しく咲く桜のある博麗神社に居候をしており、
なんやかんやで仲良くやっている姿が目撃されている。
犬のようなあうんではあるが、稀にその優れた観察眼を発揮することがある。
幻想郷には重大な何かが隠されているかもしれない、と気付いたのもあうんである。
「何だか不穏な気配がするね。
でも私がこの神社を守るんだから!
……弱いけど……でも頑張る!」
精一杯の握り拳を作ったあうんは、天に向けて決意したのだった。