「あら? なぁに? また何かトラブル?
私は何もしてないわよ?」
境界を操る程度の能力を持つ八雲紫の元には、今日も誰かが訪れる。
「うふふ……賢者の私が
そんな事をするはずないでしょう?」
幻想郷の結界を張る彼女ではあるが、日頃の行いが悪く、
よく何かしらの元凶なのでは、と疑われる事も少なくない。
基本的には温厚な紫だが、ミステリアスで多くを語らない彼女のスタンスから、
幻想郷には【まずは紫を疑え】みたいな風潮があったりする。
「私に弱点は無いし、何も効かないわよー」
天下無敵の弾幕を放ちながら困ったような笑顔を浮かべる紫。
あらぬ疑いを掛けられる事が多々あるにも関わらず、それもまた一興ね、と一笑に付す。
彼女が望むのは停滞ではなく、限りない変化の流れ。
「結局、私が尻ぬぐいすることになるんだけど……
困ったちゃんはどちらなのかしらぁ?」
あらゆる事に寛容、しかし怒る時は怒る。
「美しく残酷にこの世から往ね!」
激怒した紫の弾幕はこの世の終わりを告げるも同義、なのかもしれない。