「なんじゃ? わしに用か?」
住処すみかにやってきた人間を追い返すこともなく、
優しく語りかけるマミゾウ。
人里に暮らす彼女にとって、人間との取引も欠かせない生活の一部だ。
「ほうほう、妖怪のわしに頼み事とはな」
「いいじゃろう、
困ったときはお互い様じゃからな」
人間だろうと妖怪だろうと、
積極的に関わろうとする彼女の姿は、里の人間にも好評だ。
「ふむふむ、なるほど。
それ位の用事ならばこの化け狸に任せておけ」
「報酬? 貢ぎ物か?
それなら酒と煙草を貢いで貰うとするか」
紫煙をくゆらせ、酒をあおるマミゾウは、人間の頼み事に応えるべく外へ繰り出す。