「この本を閉じるのと、貴方の人生が閉じるのと、
どちらが先かしらね?」  
紅魔館にある巨大な図書室、いつもはそこで引き籠っているパチュリー。 その白い肌と対照的な深紅の瞳。   「貴方は月曜日から日曜日のどれが好き?
私は全部好き」
「人は私を七曜の魔女と言うけれど……
そんな大層なものかしら?」
パタン、と本を閉じるパチュリーは、目の前の敵を瞬殺する方法を、頭の中の図書館から模索する。   「貴方を倒す時間が早ければ早いほど、
私もまた早く本が読める。
どう? 合理的でしょう?」  
身体が弱くあまり外を出歩かないパチュリーからすれば、 愛しの本達から得られる膨大な知識は経験そのもの。 実際に経験が無いと言われたとしても、古今東西の本を記憶に収めている彼女に死角はあまりない。   「本の知識だけでは要領が悪いのね」
本に施された封印を知識ではなく、力業で解いてしまった霊夢に影響されたのか、 最近は外に出歩く姿も目撃されており、宴会などにも足を向けているようだ。   「外で読む本も、これはこれでいいわね」   しかしながら……大木に寄りかかり、木洩れ日の下で目を細めるパチュリーの手元には、 晴事はれごとには似つかわしくない、難しそうな本が握られていたのだった。