「八雲紫。  これでも、幻想郷では
賢者なんて呼ばれていたりして」  
八雲紫は幻想郷の創造者のひとりともいわれている妖怪だ。 普段は幻想郷の境にあるマヨヒガで暮らしており、気が向いたときだけ姿を現す。 妖怪の中でも特に恐れられ気味悪がられ避けられている彼女だが、 突然現れては、人や妖怪に意味ありげな助言を残して去っていく。
「膨大な知識を持っていると、
誰かに話したくてたまらなくなるの。
自分だけで知識を消費してしまうだなんて
もったいないし、何よりつまらないでしょう?」
もしかして、誰かに構ってほしい寂しがり屋なのかもしれない。
「私はこの幻想郷を愛しています。  もちろん、そこで暮らしている
すべての存在を気に入っています」
「私ほど幻想郷と真摯に接し、
幻想郷を愛している者はいないでしょう。ふふ」
もし何かの間違いで幻想郷に迷い込んでしまった外来人がいたとしたら、 ほかの魑魅魍魎ちみもうりょうと出会うよりも早く、八雲紫に見つけてもらえることを祈るといいだろう。   「幻想郷へようこそ。 この地はすべてを受け入れるのよ。
それはそれは、残酷な話ですわ」  
少なくとも、取って食われることはない。かもしれない。