博麗神社に参拝する者がいたら、巫女よりも先にまず彼女と出会う事になるだろう。
阿形あぎょうの獅子と、吽形うんぎょうの狛犬。
二つの像が合わさった、忠犬の如き居候いそうろう、それが高麗野あうんだ。
「こんにちは!
博麗神社を守護している狛犬です!」
高麗野あうんと呼ばれる彼女は、博麗神社の門番といってもよい存在だ。
ただし、霊夢から頼まれた訳ではなく、勝手に守護しているだけなのだが。
「私がいる限り、誰一人として
侵入者は許しません! わんわん!」
ボランティアの狛犬。しかし、侮る事なかれ。
無断で土地を跨ごうとする者がいれば、彼女は容赦なく牙を剥き出しにするだろう。
「元々は力のない神霊でしたが、
今は狛犬としてお役に立つ事が出来ます。
みんなの信仰は、この高麗野あうんが
守ってみせま……きゃうん、ごめんなさーい!」
……まあ、敵意ある者が現れた時、その力を発現するとは言っても、
結局そんなに強くはないので、よく負けるのだが。