「虫だからってバカにしないでよ!」   蛍の妖怪、リグル。 妖怪としてそこまで強力ではないが、夜の空は彼女のテリトリー。 きれいな水を求め、山から山を渡ることも朝飯前。  
その途中で、他の妖怪に捕らえられてしまうこともあったり、なかったり。
「あ……言っておくけど、
私を捕まえたりしたら容赦しないからね?」
「何よ? そう言うわりには
しょっちゅう捕まってるじゃないかって?」
「あのねえ、あれは相手が悪いだけよ!
ただの人間相手なら
私だって十分脅威になり得るんだから!」
などと意地を張ってみるリグルだが、幻想郷の住人からしてみれば神や仏はなんのその。 よって、彼女を恐れる者は人間でもあまり多くない気がする……。 もちろん、彼女相手にそんなことは言えないが。   「ちょ、ちょっと!
なんか私のこと、バカにした目で見てない!?」
「そりゃ確かにそんじょそこらにいる
妖怪とか神に比べたら、
妖精なんてたかが知れてるかもしれないけどさ」
「夜の空を照らすことに関しては、
誰にも負ける気はしないんだから!
ほら、よく見てて!」  
そう言って彼女は、夜空に美しい光を瞬かせるのだった。