「ぺっ、ぺっ……!
うぅ~……この草は美味しくない……」
はぁ……と溜息混じりに、紫苑は道ばたの雑草を口にする。
貧乏神である彼女にとって、雑草は大切な食料だ。
「あっ! この雑草美味しい!
もっと摘んでいこう……夕飯用に……」
「……きゃっ!? 風が!」
「あああっ! せっかく摘んだ雑草がー!」
風に舞う雑草を名残惜しそうに見つめる紫苑。
そのお腹から「ぐー」と空腹の虫が鳴った。
「はぁ……やっぱり報われない……。
貧乏って本当に嫌だ……ぐすん」
目尻に涙を浮かべるが、貧乏神である彼女が裕福になることはないのだった……。