水難事故で命を落とした少女は、 通りかかった舟を転覆させる毎日を送るようになった。   「妖怪ってのは人から恐れられた時に、
初めて妖怪だって呼ばれるようになるらしいよ」  
妖怪として生まれ変わった彼女は、己の力を上げるため、柄杓片手にただただ船を沈め続けた。 ……しかし、彼女の悪行は、長くは続かなかった。
「あの人に負けたあの日から、
私は聖輦船せいれんせんの船長さ」  
「でも、基本的には自動操縦だから、
私がやれる事なんてほとんどないんだけどね」  
ただの人間から舟幽霊となり、そして聖輦船せいれんせんの船長へと更に生まれ変わった村紗水蜜。 改心した彼女のこれからは、どんな船出になるのだろうか……。 因みに、たまに白蓮の目を盗んでは、三途の川で死神の舟にちょっかいを出しているらしい。