天から見下ろすその眼。映るは地べたを這う有象無象。
もちろん有象無象には人間や妖怪も含まれている。
「はぁ〜あ。退屈退屈退屈ぅ〜」
天界に存在する桃、仙桃せんとうを齧かじりながら天子は溜息をつく。
「天界って、満ち足りていて刺激が無いのよ」
「退屈過ぎて地上に遊びに来ちゃった。
「……なのに、ここでも退屈させられるだなんて」
遊びに来たのではなく、追放されたのだが、
プライドが山より高い我儘少女から「追放された」などというセリフが出る筈も無い。
天人であるのに彼女が持つ力は【大地を操る程度の能力】。
まさに彼女に相応ふさわしくない能力だが、常識に囚われてはいけない。
幻想郷において常識は非常識であり、非常識が常識である。
「あら。あれが噂の博麗神社ね。
ちょっとぶっ壊してみよっと!」
天子が悪意のない爽やかな笑顔を浮かべると、大地が激しく揺さぶられる。
地震はきれいに博麗神社だけを飲み込み、そのまま倒壊させてしまうのだった。