「相変わらず地上では、
有象無象どもが意味のない生を浪費しているわね。
天界とは大違いだわ。……でも、だからこそ、
暇を潰すにはうってつけだ」
比那名居天子は生まれついての天人などではない。
比那名居家の誰かが認められて天人になる権利を与えられた訳でもない。
彼女たちはあくまでもついで。不良天人と呼ばれてしまうぐらい、天人の中では異端な存在だ。
「不良、天人くずれで大いに結構!
私が私であるならば、
呼び名など些事に過ぎないわ!」
しかし、彼女は自分が異端であることを引け目には思わない。外的評価も気にしない。
差別、区別、侮蔑に罵倒、大いに結構。
彼女は天界の誰よりも、己という存在に自信と誇りを持っている。
「さーって……と。今日は何をして
退屈を凌いでやろうかしら。
またこの剣で天変地異でも起こして、
巫女を引きずり出してみようかな。
そう……地上で大流行しているという、
あの弾幕ごっこで!」
天子の言葉に二言はない。天子の選択に撤回はない。
彼女がそうすると決めたとき、すでに未来は確定している。
「さあ、刮目なさい幻想郷!
私は今日も、愚かで矮小な有象無象を弄ぶわよ!」