「鬼の魔力が宿りし小槌……伝承が正しいなら、
何でも願いを叶えてくれるんだよね」
針妙丸にしかできないことがある。そしてそれが、この幻想郷を大きく変えるきっかけとなる。
そんな天邪鬼の言葉が、針妙丸を動かした。
彼女は無断で持ち出した小人族の秘宝『打ち出の小槌』を振り回し、願いを口にする。
「私は望む。
弱き者が捨てられない、平等な楽園を。
私は願う。
強者が弱者を踏み躙にじらない、平和な幻想郷を。
打ち出の小槌よ。
本当に願いを叶えるだけの力があるのなら、
私に力を貸しなさい!」
かくして小槌は針妙丸の願いを聞き届け、その強大な力を開放する。
天が割れ、暗雲とともに現れた逆転の城は、幻想郷中の弱き者たちの力を増大させていった。
「強者には弱者の気持ちなんて分からない。
分かろうともしない。だから私は願ったの。
これは私達弱者からの下剋上!
もう弱いだなんて言わせないんだから!
静謐せいひつなる覚悟と怒りを宿した針妙丸は、愛刀と小槌を振りかざして戦場へと赴く。
かつて小さかった弾幕も、今では強大な嵐の如く吹き荒れる。
障害となる、覚悟の道を阻む者たちへ、縦横無尽に降り注いでいく。
「すべての弱者を救うため!
これが私の! 全力だーーーー!」