「はいそこー! 気を付けなさいよー!」   舟幽霊である村紗は、幻想郷に突然現れた特設プールの監視員の仕事についていた。   「それにしてもあっついなぁ。家の中が恋しいわ。  この前の償いとはいえ、流石に一人で
この広さを監視し続けるのはちょっと……。
 あ、あそこに舟がある。
沈めていいかな……いやいや、駄目駄目!」
舟を見ると沈めてしまいたくなるのが、舟幽霊の性。 とはいえ、このプール開きの際にはその性が暴走に暴走した結果、大変なことになってしまった。 あの時のことを思い出し、もうあんなことを起こすわけには行くまいと、 底の抜けた柄杓を手の上でくるくると弄もてあそび、欲望をグッと抑える。   「あーいいなぁ! 私も遊びたい!」
水の中ではしゃいでいる面々に目を向けると、幻想郷の大物が揃い踏み。 よくよく見てみると、中には村紗が慕う白蓮の姿もある。   「むむむ……お仕事が終わったら
私もしっかり遊ばせてもらいますからね!」   これも一つの修行だとこの仕事に自ら志願し、事件の後も続けることにしたのを思い出し、 この仕事を完璧に務めてみせようと、気持ちを切り替えたのだった。