「でもどうして
館がこんなことになっちゃったのかしら……」
「もういいでしょお姉ちゃん!
それより今度は鬼ごっこして遊ぼうよ!」
「はいはい、わかったわよこいし。
それじゃあ私が鬼ね」
「きゃっ!? お姉ちゃん!
水鉄砲で撃つのはやめてよー!」
「ふふふっ、鬼ごっこなんでしょう?
私は鬼なのだから、ルールなんて無用なのよ」
「あははっ! 冷たーい! もうやめてよ~!
お姉ちゃんのイジワル~!」
普段なかなか見せない姉妹の仲睦まじい姿に、あとからやってきた地霊殿のペットたちが驚く。
こいしはともかく、あまり感情を見せないさとりが遊びに興じている姿はとても珍しいことだ。
ペットたちはふたりを邪魔しないようにと、物陰からふたりの様子を物珍しそうに窺う。
「……ん? どうしたの?
あなたたちも早くこっちに来なさい」
「そうだよ~。一緒に遊ぼうよ~!
冷たくて気持ちいいし、
いろんな玩具があるんだよ~」
心を読み、無意識を操る姉妹にとって、従者たちの目論見は簡単に見破られてしまうのだが。
「はしゃいでいる私のことを
面白おかしく感じているようね。
まあ、無理もないけれど」
「お姉ちゃんだって、
楽しいときはこうして笑うんだね~!
いつもそうしてればいいのに!」
「そ、そう? まあこいしがそう言うのであれば、
考えてみてもいいですけど」
少しだけ顔を赤らめて照れた様子を見せるさとり。
こいしたちと過ごすのは、彼女にとって心の平穏を感じる大切な時間なのだろう。