長い付き合いである萃香とは、時々霊夢たちに黙ってこっそり酒を酌み交わしたりしている。 たとえ萃香が酔って暴れたとしても、紫がいれば問題なく治めてくれる。  
「んー! 紫の持ってくる酒は美味いし、  さかなの月は最高に風流だし、こりゃいいな!」  
「1000年物のお酒なのよ。
今じゃ手に入らない原料が使われてて……」
「紫はそういうもん、色々溜め込んでそうだなぁ。 ほかにももっといいもんがあるんだろ?」  
「そりゃあ、長年生きているもの。
この世で味わえる物はほとんど味わったわよ。
 というか、あなたも一緒に飲んだでしょうに。
もう忘れてしまったの?」
「そうだっけ? ああでも、地獄に生えた果実をふたりで  食べたことは覚えてる。  あれはなかなか美味かったな」  
「そんなこともあったわね。  あれ何百年前だったかしら
……つい昨日のことみたいに感じるけど
そんな中、酒の匂いに釣られたのか、どこからともなくひとりの人間が迷い込んできた。   「あら……? お客さんかしら?
お酒の匂いに釣られて来ちゃったのね」   「ほう。せっかくの機会だ、  こいつも混ぜてやろうぜ。  人間にはちとキツい酒かもしれないが」
迷い込んだ人間は、紫と萃香の魅力に誘われるがまま酒に手を伸ばす。 いつ終わるとも知れないふたりの宴会に混ざることになった 人間は、夢と現実の狭間を彷徨さまようのだった。