「ようこそ~、新入り幽霊の皆さん」   新人幽霊たちは最初、自分が死んだ未練と悲しみに包まれるが、 彼女の美しさを前にして、その感情も吹き飛ぶという。   「これから新入りさんの歓迎会として、
冥界の各地を案内してあげるわね~」  
亡霊たちの姫、西行寺幽々子。 彼女の柔らかな笑みを前にした大半の亡霊たちは、案外冥界も悪い場所ではないと思うのだとか。
「ふふっ、どうぞどうぞ。
遠慮せず列に加わって~。
 もしかしたら列の中に
知っている人がいるかもしれませんから~」
「……あら? そこのあなた、泣いているの?
あらあら……そう……。
それは大変な死に方をしてしまったのね~……」  
ひとりぼっちで泣いている幽霊に優しく手を差し伸べる幽々子。 まるで子どもを慰める母のような包容力で、どんな死者にも平等に接してくれる。
「大丈夫……。もうここには
あなたを傷つけるモノはありません。
 痛みも苦しみも、
全て現世に置いてきてしまったんですから~」
「それに、
現世では辛いことがあったかもしれませんけど、
こっちはこっちで楽しいこともありますよ~」  
こうして、今日もまた新たな幽霊たちが冥界の仲間入りを果たす。