「まったく、失礼しちゃうわね。
私が黒幕だなんて、言いがかりもいいところよ」
溜息混じりに愚痴をこぼすアリス。
先日の異変の原因が自分にあると皆から誤解されていたことは、
意外にも彼女にとって面白くないことだったようだ。
あまり人の目を気にしないところがある彼女だが、
誰も見ていない所では、案外人の評判を気にしているのかもしれない。
「ただ人形を作っているだけの私が、そんな
大層な事件なんて起こすはずがないじゃない」
「やっぱり普段あまり人と接することがないから
……そういう人に見えるのかしら?
心外だけれど、よく知らない他人から見たら
変わった人物に思われてしまうのは
仕方ないのかも」
別に他人と関わることが嫌いなわけではないが、
自分の時間やペースを乱されるのはあまり好きではない。
だからといって、変な評判や噂が立つのはなんだか嫌だ。
人間関係とは難しい。難しいから考えなくて済むようにこうしてひとりでいることが多いのだが、
それがかえって評判に影響するというのはなかなか難儀なことだ。
「はぁ……ひとりで考えていても、
結論なんて出るわけがないわよね。
こういうときは誰かに相談するのが
一番なのだろうけど、
そんな相手いるかしら……?」
「……魔理沙?ううん、でも魔理沙は人間関係とか
そういうの良く分かってないというか、
単純に無礼っていうかガサツっていうか……
それはそれでいいのかもしれないけど」
「まあいいわ。
いつもは向こうから勝手に来るけど、
たまには私から訪ねてみるのも悪くないわ」