「あらまあ、困ったことになったわね。
どうすればいいかしら?」
「どうしたもこうしたも、
私じゃどうにもできませんよー!」
輝夜が空を黒く塗りつぶしたことで、幻想郷全体の夜が止まってしまった。
しかし、当の本人の輝夜は涼しい顔でお茶を啜っており、
むしろ輝夜にお茶を汲んでいる鈴仙が、ビクビクしながら永琳の帰りを待ちわびていた。
「戻し方とか、分からないんですか? 輝夜様?」
「戻せることには戻せるけど、
疲れるから嫌なのよ。戻すのにも力を使うから」
「ほっとくとお師匠様も
流石に怒ると思いますよ?」
「確かに永琳に怒られるのは面倒ね……
といっても今更じゃないかしら。
放っておけば、そのうち元に戻るから
心配しなくて大丈夫よ」
「あぁ、そうなんですね……
ちなみにどのぐらいで元に戻るんですか?」
「1週間ぐらいかしら? まあ寝ていればすぐよ」
「全然すぐじゃないですよ!
1週間も真っ暗だったら
色々大変なことになっちゃいますって!」
「はいはい……もう、分かったわよ。
このお茶を飲んだら元に戻すから、静かにしてて。
あ、優曇華も治すの手伝ってね。いいでしょ?」
「わ、私もですか!? 何も手伝えませんよ~!」
こうして永遠亭の騒がしい夜は過ぎていくのだった。