「う~ん……うおおお! やってやるぞ~!
やってやるぞ~見てろ霊夢~!」
十五夜ということで酒をしこたま飲んだらしい萃香。
酒はいつも飲んでいる気がするが、それにしても今宵はずいぶんと深酒をしたようだ。
「鬼はな、空だって砕くことができるんだぞ」
実体のないものを砕くだなんて本当に可能なのだろうか? と一同首を傾げた。
しかし、やると言い始めてしまったら、本当にやり始めるのが萃香だ。
「うおおおおっ! これが鬼の力だぞ~!
おりゃりゃりゃりゃ~~~~!」
萃香が拳を空に向かって振り上げた次の瞬間、幻想郷全体に響き渡るような轟音が鳴り響いた。
霊夢たちがふと空を見上げると、驚くべきことに空がひび割れているではないか。
「どーだ! 見たか見たかー! これが萃香様の
本気の力なんだぞー! 目に焼き付けろ!」
元に戻すことはできるのかと霊夢に尋ねられるが、萃香はあっけらかんと答える。
「んー? 多分誰かがなんとかするだろ。
いいんだいいんだ。
鬼がやったことは誰にも咎めるなんて
できないさ。だって鬼の仕業なんだからな」
よく分からない理屈を語り、萃香は再び瓢箪を手にして酒を飲み始めた。
そんな奔放な彼女を見て周りは納得しつつも呆れ、誰も何も言わなくなったのだった。