「何で踊るのかって?」
手にした茗荷の葉を揺らし、里乃は高らかに宣言する。
「当然、隠岐奈様の為に決まってるじゃない」
のほほんとした笑顔を張り付けながら、摩多羅神に従う童子の里乃は言い切った。
「そうだよ。何を当たり前な事を聞くんだい?」
里乃の言葉に同調するように、舞が自慢げな表情を披露した。
肉体的な知覚そのものである五識。それに意識を合わせた六識と、
その裏で働く第七識を司るこの二童子は、今も楽しそうに、嬉しそうに踊りを止めない。
二人の能力によって、対象者の背中に開かれる扉は、潜在能力の入口だ。
「さぁ貴方のチカラを引き出してあげる!」
「踊れや踊れ! 行くよ!」
どういうわけか、背中に開いた扉は後戸の国へと繋がっている。
「さぁテストを始めよう!」
「理由は分からないけど、
そうすることが正しいの!」
そして二人は茗荷と竹を振りかざしながら、敵意剥き出しの弾幕を放ち始めるのだった。