「今日も出任せ記事を書くのね、
このインチキ天狗」
「あら、今日も出遅れ記事を書きますか、
この引きこもり天狗」
新鮮さと個人的主観が多分に織り交ぜられた記事を書く、射命丸文の文々。新聞。
堅実で確実な記事を書く、姫海棠はたての花果子念報。
お互いを永遠のライバルとして敵対視しているふたりは、仲が悪い。
「いつまでもあなたの最低な記事が
売れ続けると思わないでよね」
「何を言いますか。読者が求めているのは
あなたの書いているような妄想新聞じゃなく、
新鮮さと娯楽性のある、
私の真実新聞ですよ」
顔を合わせれば必ずいがみ合い、毒を吐き合う犬猿の仲。
文は、烏天狗特有の身軽なフットワークで幻想郷を飛び回り、
常に新しいネタを探し回っては、新鮮なうちに記事にしてしまう。
片やはたては家に閉じこもり、念写をする程度の能力で記事を書いている。
記事に対する信念も、その作り方も相反するふたりだが、
己の理想を込めた新聞を作ることには、どちらもひたむきだ。