「健康健康、健康第一ふぃっとねすー」
迷いの竹林の奥深くにある永遠亭、その縁側にて多数の兎たちと戯れるてゐ。
健康に気を遣って長生きするうちに妖怪へと至ったが、それは兎の時代の、並々ならぬ努力の賜物だ。
「私が健康に気を遣いだしたのって、あの
ワニたちのおかげなんだよねー。
ホント感謝感謝ー」
世にも有名な昔話、因幡の白兎に出てくる兎。実はその兎こそがこの因幡てゐなのである。
……と説明しても、ほとんどの人が笑って片付けてしまうだろうが。
「最高の悪戯は健全な身体からってね。
詐欺もそうさ、頭が働かないと相手を口車には
乗せられない。健康はすべてに通じるんだよ」
ワニとの一悶着があり、紆余曲折を経て身体を治したてゐは、
今後こんなことがないようにと健康第一で生きていくことに決めた。
それから長い月日が経ち、幸運の妖怪として変化したてゐは幻想郷へと流れついた。
千年万年を生きるご長寿たちも多い幻想郷の中でも、てゐはかなりの長命だ。
不老長寿の薬を飲んだ焼き鳥屋だったり、月の民だったり、鬼だったり、元人間だったりと、
癖が強い住人に隠れているだけで、てゐも充分に癖の強い長命の者である。
「さーって。今日はどいつを
だまくらかしてやろうかな。
また鈴仙を落とし穴にでも落とそうか?
ま、しょっぱい穴でも落ちるでしょ、鈴仙なら」
悪戯好きでお調子者、程度の低い詐欺行為を平然とやってのけるが、
詰めが甘いために自分が痛い目に遭うこともしばしばあったりする。