「我ら! 兎角同盟は!」  
「永遠に不滅〜」  
えいえいおー! という二人の兎の掛け声が月夜に溶ける。   「兎肉鍋なんて……! 言語道断ね」  
「もっと可愛ければ食べられない、かな?」
事の発端は、とある宴会に出された兎肉の鍋である。 兎を食べるな! 兎に権利を! と徹底抗戦の構えを崩さない鈴仙と、 事ある毎に縁日でカラーうさぎを売り捌くてゐには若干の相違があるようだ。   「兎肉を食べた奴は私の能力で
狂気の果てに追い込んでやろうかしら」   「それはやりすぎだと思うよ。やめときな」  
「残念」
「ていうかさ、鈴仙は月の兎じゃん」  
「そんな事ない。兎にとって
月と地上との隔たりなんて意味を成さないわ。
理想の為に頑張るだけ」  
そんな時、他の妖怪から兎肉鍋を食べている奴がいる、と報告を受けた二人は、 兎の尊厳を守るべく、足並みそろえてお仕置きに向かうのだった。