「今日も花がきれいね」
色とりどりに咲き誇る花を前に、幽香は微笑みを浮かべた。
四季のフラワーマスターとも呼ばれる彼女のお気に入りは、幻想郷で唯一枯れない花の日傘だ。
花を操る程度の能力により変化させた物なのか、それともただの洒落た日傘なのかは分からない。
紫外線を大幅にカットし、さらには弾幕すら防いでしまう性能を持っている。
「花は育ち、咲き誇り、そして散る。
それが命の本質。
誰かのためじゃない、己のために気高さを
主張し続けて幕を閉じる
……素敵なことだと思わない?」
幽香は、雪原に満開の向日葵ひまわりを咲かせることも出来る。
四季折々の花たちを、一斉に芽吹かせることもできる。
「花は散り、土に還り、そしてまた芽吹く。
美しさを誇るために。 そう、あなたが
ここに入ってきたときから、向日葵たちは
あなたを見つめているわ。ずっと。ずっとね。」
人間であろうと、妖怪であろうと、幽霊であろうと、相手が何者であろうとも、
苛烈な攻撃をしかける幽香は、本質的に加虐的。
強さに裏打ちされた弾幕が大輪の花を咲かせ、目の前の敵を蹂躙するのみなのだ。
「さぁ、あなたも向日葵にしてあげましょうか」