貧乏神と疫病神。最凶最悪の双子。依神紫苑と依神女苑。 富を司る二人の少女は、己が私欲のためだけに、ついにその重い腰を上げた。  
「幻想郷に存在する富がいったい誰の者なのか、  ここいらで証明してあげないといけないわ」
「そして私はそのおこぼれにあずかる、と……
でも、本当に私がいて大丈夫?
 不幸な私がいるだけで、どんな計画も
大事なところで失敗してしまいそうなものだけど」   泣く子も貧する貧乏神。『自分を含めて不運にする程度の能力』、それが紫苑の持つ力の名だ。 幻想郷中からありとあらゆる金品を巻き上げる。 そんな大それた計画を前に、紫苑が怖気づいてしまうのも無理はないだろう。
しかし、女苑は彼女の弱音を一蹴する。  
「ダメな姉さんがいるからこその計画なの。  私たちが成功するんじゃない。  姉さんのろくでもない能力によって、  相手が勝手に破滅する……それが私たちの計画よ」
「さっすが女苑! 金品を巻き上げることに
関しては右に出る者なんていないわね。
 私も姉として鼻が高いわ。
 ……だから、おこぼれはちょっと
おまけしてくれたら嬉しいなって」
「ビタ一文たりともまけないわ。だって、  姉さんったらすぐに一文無しになるんだもの」  
女苑はその奇抜な扇子をバサリと広げ、あくどい笑みを浮かべる。  
「じゃあ、さっさと踏み出しましょうか。  私たち依神姉妹が  幻想郷一のお金持ちになるための第一歩を!」  
「おー」