「さあさ、集え集え! 金銀財宝、
ありとあらゆる富よ、財よ、私の下に集えーっ!」
「私はこのお茶碗が
いっぱいになるぐらいの財宝が欲しいわ……」
高らかな笑い声とともに、人々から金品を巻き上げる最凶最悪の疫病神。
一方、最凶最悪の貧乏神は控えめに茶碗を前に差し出すのみ。
「ちょっと姉さん。もっと本気を出しなさいよ!
みんなを不幸にして、みんなを
貧乏にするのが姉さんの仕事なんだから!」
「そうは言うけど女苑。私が本気を出すと、
自分自身まで不幸になってしまうのよ。
だからがんばるのは程々にしておかないと、
本末転倒になってしまうわ」
「ぐっ、こういう時だけ鋭いな
この万年貧乏は……大丈夫よ!
多少の不幸ぐらい、
私の財力でなんとかしてやるわ!」
「毎日白飯を食べられるぐらい?」
「それは流石にもう少しハイレベルな
贅沢を望んでもいいと思うけど……」
女苑が富を徴収し、その対価として紫苑による逃れようのない不幸をお見舞いする。
シンプルな能力故に、その効果は絶大で、幻想郷はたちまち混沌に包まれていく。
「私たちは誰にも止められない!
たとえ博麗の巫女でもね!
だって私たちは、最凶最悪の
依神姉妹なんだから!」
「妹に頼られるのは悪い気分じゃないし、
私もそこそこがんばるよー」