「あなたという体の境界、心の境界、
そして世界の境界。
  その一切合切がなくなってしまうとしたら、
どう思うかしら?」  
突如、空間に亀裂が入り、そこから顔を出したがくすくすと笑う。 眼には超越者ゆえの余裕の色が宿り、底の見えない不気味さを醸し出している。
「私は妖怪として個にして全、
八雲紫という名の種、境界を司る者であり
幻想郷を見守る者」  
境界を操る程度の能力は、この世のありとあらゆる存在の境界を操れる。 それすなわち、存在を形作る外殻を壊すも作るもの自由ということだ。   「ふふ……ようこそ、幻想郷へ……」
賢者とも呼ばれるは、幻想郷に住むと決めた新参者を拒みはしない。 心を読ませず、胡散くささを前面に押し出すように振る舞い、 皆から避けられていることなど厭わないその姿は、最も妖怪らしい妖怪といえる。   「さぁ。思い切り遊びましょう?」   絶対的強者としての威圧と決して崩れない余裕の微笑み。 放たれる圧倒的な弾幕の蹂躙。それは紫にとって遊びと同じ程度のもの。 相対する存在が何であれ、紫の優位性は少しも揺らぐことはないのだ。