メルランは、ルナサとリリカと共に三姉妹で楽団をやっており、センターを任されている。   「あははっ、今日もたくさん来てくれてる!  これは本気のライブを見せてあげないと、
みんなに失礼だよねー!」  
メルランの冗談めかした物言いに、大勢のファンが歓声を上げる。 どんな時でも笑顔を振りまき、どんな相手にもサービスを忘れない彼女は、楽団で最もファンが多い。 しかし、彼女のファンが多い理由は、それだけではない。 ライブがない時、ルナサからの指示を受けての行動となるが、 彼女は墓場や人里離れた森の中などで、幽霊相手にソロライブを行ったりもしているのだ。
「私の音楽を聴いてくれる人がそこにいるなら、
人数なんて関係ないよ!
 このソロライブを通じて
私たちに興味を持ってもらうこと
……それこそが狙いなんだから!」  
彼女の音色は聴いている者の躁そうの感情を増幅させる。 つまりは聴いているだけで元気が溢れ出る、そんな音楽をメルランは奏でているのだ。
「でも、元々元気な人が私の音楽を聴くと、
もっと元気になっちゃって……。
 いきなり踊り出したり、
まともに話せなくなっちゃうんだ」  
そう言う彼女の顔に反省の色は一切ない。 元気になるならそれで構わないじゃないか、という考えが透けて見えるようだった。