「号外! 号外! 号外だよぉー!
幻想郷で将棋の大会がついに開催だーっ!」  
威勢の良い大声が、幻想郷中を駆け巡る。 何事だと空を見上げた者たちの顔に勢い良く投げつけられるのは、とうに見飽きた号外新聞。 またあのインチキ新聞か、と文句を言いつつ新聞を開く読者を見下ろしながら、 風よりも速い新聞記者・射命丸文は満足げな笑みを張り付ける。
「いやー、今日もいい仕事をしました。
でも、これはあくまでも第一歩。
将棋のことをもっと多くの人に広めなくては」   由緒正しき伝統遊戯である将棋。その大会を大々的に開催することになったわけだが、 今回、彼女はその大会のスポンサーとして名乗りを上げている。
「大会にたくさんの参加者が来てくれれば、
スポンサーである、我が文々。新聞の名も
 轟き、部数も増えるというもの。
 私の新聞の購読者を増やすためですから、
地道な広報活動は面倒だけど、頑張らないとね」
文々。新聞の評判あくひょうはすでに幻想郷内全域にまで轟いているが、 彼女は自分に都合のいい評判以外はほとんど無視しているので、関係ないのだろう。 今回に関しても、幻想郷の住民たちからは「また何か企んでるに違いない」と呆れられている。   「号外! 号外ーっ! 
将棋の大会が開催されますよぉーっ!」  
鴉天狗は今日も、空を飛び回りながら号外新聞をばら撒くのだった。