「さあさ、祝えや祝え!
今宵は我らが神霊廟、その偉大さを祝う日である!
博麗神社も守矢神社も命蓮寺も関係ない!!
今日は、神霊廟が主役なのである」
燃え上がる炎が空を、大地を、そして人々を煌々と照らす。
縦横無尽に燃え上がる炎の中で得意げにふんぞり返る少女の名は物部布都。
神霊廟の主である豊聡耳神子を心より敬愛する少女である。
「ふふふ、この日この時のために
密かに練習に練習を重ねてきたのだ。
太子様を、新霊廟を、
そして何よりこの我の演舞を見るが良い!
燃えろや燃えろー!」
所構わず火を放ってはいろんな人から怒られる日々を送っている彼女。
しかし今日は、今日だけは、誰にも怒られることはない。
その炎は自分のためではなく、大切な主のために放たれているのだから。
「見ていてください太子様! 我の炎を!
これぞ神霊廟に捧げる我が忠義の証!
屠自古の奴には負けませぬ!
我が一番! 太子様の従者として相応しい!」
大迫力の演舞は人々を魅了し、同時に神霊廟の偉大さをも知らしめる。
しかし同時に、その場にいる全員に、彼女は一つの心配事を抱かせてしまう。
その大きな炎がどこかに飛び散ったりしていないだろうか――という、純粋な不安を。