埴安神袿姫によって造られし存在――杖刀偶磨弓。
埴輪である磨弓は、配下の埴輪隊ともども霊長園を警備する。
「先日の人間ならばともかく、
動物霊なんぞには遅れをとらんぞ!」
実体があるがゆえに、霊体である動物霊からの攻撃を受け付けない磨弓に、畜生界において敵はない。
人ならざる被造物ひぞうぶつであるがゆえに、病気をせず、休息も必要なく、例え壊れてもすぐに修復される。
「どこぞの動物霊が放った炎……
この程度で霊長園が痛手を負うとでも?
だが、このまま放っておくわけにもいくまい。
大火事になってしまってからでは遅いからな」
埴輪は捏こねた土を焼いて作るもの。多少の火勢など、彼女たちには通用しない。
「さあ、埴輪隊の皆よ!
我らの連携をもって、一気に消火するのだ!」
磨弓の号令のもと、埴輪隊は炎も恐れず、一糸乱れぬ働きを見せる。
不死身に近い体を持つ彼女と埴輪隊は、霊長園への侵入者の排除のみならず、
さまざまな災難・災害の対処にも駆り出される。
その仕事っぷりは忠実な狛犬にも負けず劣らず。求められるがままに働く。
まさに霊長園と、そこに暮らす人間霊の守護者だ。
「消火終了! ご苦労様、みんな!
この霊長園の平和、
我らで守り抜くぞ!」