「わあーー! ご主人様、腰ほそーい!
凄い衣装ですね!とっても良く似合ってますよ!」
トナカイの着ぐるみを身につけたクラウンピースはサンタ姿のヘカーティアに歓声をあげる。
「地上の人間が作った衣装だって言ったけど……
なかなかいいじゃない! 気に入ったわ!」
今夜は紅魔館で行われる、レミリア主宰のクリスマスパーティー。クリスマスという催しには
あまり感心が無かった二人だが、いざ始まってみるとその場にいる誰よりもはしゃいでいた。
「でも、クリスマスって一体なんなんでしょう?
収穫祭とは何か違うみたいだし」
「有名な人間の誕生日を祝っているのよ。
きっとこんな赤い服を着ているのね、おそらく!」
「さすがご主人様!
人間たちの風習にも 詳しいんですね!
ううん、赤い服を着た有名人かぁ~」
「かつて我が信仰の地を蹂躙した異教徒とはいえ、
こういうセンスだけは評価してやろうかしら」
「ご主人様、なにか言いました?」
「いいえ、ただの独り言よん。
どんな奴も、褒めるところは褒めてあげないと~」
その後も二人は会場に用意されたお酒や料理に舌鼓をうって、聖夜のパーティーを大いに満喫する。
咲夜をはじめとしたレミリアのメイドたちが用意した料理はそれはそれは見事な物。
幻想郷トップクラスの味を誇る料理は、見栄えでも人々を楽しませている。
「ん~~~っ! どういう起源かはともかく、
美味しい物を楽しめるならそれが一番でしょ~」
「あ~~~っ! ご主人様!
あたいが食べようとしてたケーキ、
どうして全部食べちゃうんですか」
「あっちゃあ~ごめんごめん。美味しくてつい
食べちゃった。じゃあこの七面鳥あげるからさ」
「今は甘い物が食べたい気分だったのに~。
……あっ、これもとっても美味しい!」
七面鳥をほおばるクラウンピースの笑顔を見つめながら、ヘカーティアはそっと微笑んでいた。