「わっ!? 冷たい! ……何これ? もしかして雪!? 雪ですよ! ご主人様!」  
突如降り始めた雪にはしゃぐクラウンピース。 地獄では滅多に降らない雪に、興味津々の様子。   「へ~。地獄じゃなかなか見れないからねえ。
こういうことが起きるから、地上って面白いよね」
そう言いながらヘカーティアは雪をせっせと集め、 丸めていくと小さな雪だるまを作ってみせる。   「っと、こんな感じだったかな?
確か人間たちが作ってた雪だるまってのは」   「可愛いですね! ご主人様!! これも何かの 行事に使う物なんですか? 身代わり人形とか?」
「さあ……? 前に人間の子供たちが必死になって
作っていたんだけど、由来は良く分からないな」  
ふーん、などと感慨に耽ふけりながら見つめていたクラウンピースはそっと雪だるまを口に運んでみる。 その光景を見たヘカーティアは慌ててクラウンピースから雪の塊を取り上げてしまった。  
「あっ! 何するんですかご主人様! ちょっと味を確かめてみたかったのに!」
「いやいや、こんなの食べたら
お腹壊しちゃうでしょ。
せっかく美味しい料理食べてるのに」   クラウンピースは肩をすくめ、今度はアイスクリームを持ってきた。 さっそくそれをペロリと一口で食べ終えてしまうクラウンピース。 もう散々食べたと言うのに、お菓子ばかり食べ続ける彼女の姿にヘカーティアは苦笑してしまう。 まったく、良くもまあこんなに食べるものだ。
「そんなにお腹空いてるの? いつも以上に
たくさん食べてるけど、本当に大丈夫?」   「だって~。地獄の食べ物より 断然美味しいんですもん。 今のうちにたくさん食べておかないと……」  
そんな軽口を言ってしまうクラウンピースの姿にヘカーティアは半ば呆れながらも笑っていた。