「うぉ~。お前たち、その調子だぞ~。
どんどんその木を飾り付けろ~! へへへ~!」  
クリスマスを控えた日、萃香はちび萃香たちにクリスマスツリーの飾り付けをさせていた。 とはいえ、クリスマスと言う物に馴染みのない萃香はその風習が良く分かっておらず、 取り敢えずそれっぽい木をそれっぽく飾り付けすればいいと思っているようだ。 飾りつけを進めていくちび萃香たちを見ながら萃香本人はその横で酒をどんどん飲み干していく。 サボっているようにしか見えないが、本人なりに真面目にやっているらしい。   「へへ~。これを見たらきっと霊夢たち驚くぞ~。
う~ん……酒が美味いな……おっとっと……」
酔いが回ってきた萃香がフラフラとし始め、ちび萃香たちが飾り付けをしているモミの木に向かう。 ダメ~! 飾りが取れちゃうよ~! せっかく頑張ったのに~! ……と、でも言わんばかりに、 ちび萃香たちは必死の身振り手振りで、倒れ込む巨大な鬼に伝えようとしている。   「う~ん……おお……?
そうだったな……すまんすまん……。
しかし蹴り甲斐のありそうな木だな」   ちび萃香たちの制止も聞かず、モミの木を叩き始める萃香。 萃香自身は少ししか力を入れていないつもりだが、モミの木は右に左に大きく揺れてしまう。 当然、飾りつけをしていたちび萃香たちは大慌て。萃香に向かって抗議の声を上げ始める。
「あはは、悪かった、悪かったって!
邪魔者はここで大人しく酒を飲むことにするよ。
ごくっ……ごくっ……うへぁは~っ」   愛用の瓢箪を用いて上機嫌で酒を煽あおる萃香。その表情はいつになく楽しそうに笑顔を浮かべている。 クリスマスではいくら酒を飲んでもいいし、食事だって豪華なものを食べていいらしい。 そんな日に楽しまないなんて損じゃないか、と萃香は再び瓢箪に口をつけるのだった。