紅魔館でクリスマスパーティーが開かれた。会場には大勢の人間・妖怪など種族問わず集まっている。
幻想郷中の人妖くせものが集結したかのような光景に、館の門番、紅美鈴は声をもらした。
「いやはや、本当に大勢が集まりましたね。
外も寒いのによくもまあ……ご足労いただいて」
「もちろんよ、幻想郷中に声をかけたからね。
これもまた、この屋敷の主だから為せる技かしら」
華やかな飾り付けもそうだが、テーブルに並ぶ豪華な食事は好評のようで、誰もが夢中になっていた。
そして幻想郷のパーティーの常である、事故・喧嘩の対処は紅魔館が誇るメイド長の担当だ。
「完璧な準備、完璧な進行。流石は咲夜だわ。
フフフ、後で褒めてあげないといけないわね」
「ありがとうございます、お嬢様。ですが、
これぐらいは紅魔館のメイドとして当然です」
「あら、賞賛の言葉を受け取るのも、
また出来る者のマナーよ」
「なるほど。では、お褒めに預かり光栄ですわ」
恭しく頭を下げるお気に入りのメイドを満足気に眺め、
レミリアはさて、と会場を改めて見渡した。
そろそろこのクリスマスパーティーを主催した、偉大なる吸血鬼に挨拶がある頃だろうと……。
「…………。………………ど、どうなってるのよ。
ちょっとパチェ! 誰も挨拶に来ないんだけど!」
「レミィ。残念だけど、『そういう』のを
あいつらに求めるのは
難しいんじゃないかしら……」
「『そういう』のとはなによ!
パーティにおける、最低限の礼儀というものよ!
炊き出しだって少しは感謝されるでしょうが!」
そんなものでしょ、とパチュリーは肩を竦めたのを見て、レミリアは大いに憤慨し羽をバタつかせた。
「ちょっとフラン! あなたはどう思う!?
ひどいと思わない!? 思うわよねえ!」
「お姉様、今楽しいところだから。
大きい声を出さないでほしいわ」
「えぇ……ちょっとぉ……」
愛する妹に意見を求めるも冷たく袖にされ、そのフランは楽しそうにどこかに飛んでいってしまう。
「……な、納得。納得いかないんだから!!
あんたたち、誰のお陰で
楽しめてると思ってるのよぉ!」